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執筆者の写真駿也 東海林

アリストテレスの正義論からの学び

更新日:2021年1月3日



あらゆる物事を「目的」から考えるという発想が


アリストテレスの提唱する正義論の一部を支えている。



何かの事象に対し判断を下す際に


その事象の目的に立脚するというのは一見当然のように思える。



しかし、そこには倫理観などが必ずついて回るものであり、


本来の目的を実現しうるような合理的判断が下されないことは往々にして起こりうる。



1つの例として挙げられるのが


マイケル・サンデルの提唱するトロッコ列車の話だ。



帰結主義に基づけば


大勢の命を救うための代替案が


1人の代表者の命を奪う事であるのならば


それは正当化され得る。



しかし、倫理的な観点からこの話を論じた場合


主体的に命を奪うことは正当化されるはずがない。



これらの論を踏まえての私の考えとしては


目的論というのは実践的に何かの行動を興す上では


完全なものではないということは認めなくてはならない。



だが、物事の在り方について


多角的な視点を取り入れ深い議論を目的にするのであれば


目的論という議論手段は採用されるべきであると考える。



以上を踏まえ最終的に結論だした筆者の所感は


何かを議論する際、まずはその議論の目的が何かを今一度


明確にするということ。



目的の明確化がなされないと


正しい判断を下すことはできない。



※ここでいう「正しい判断」とは


本来存在しうる目的の実現に適した判断のこと


いかなる判断もそれ自体に正しいも誤りはなく、


あくまで目的達成のための方法として適しているかどうかを意味する。



言い方を変えれば明確な定義づけとほぼ同意になる。


物事には状況や違う視点によって合理的な判断が変化するため


絶対的な合理的判断というものは存在しえない。



また1つの出来事や事象に対する捉え方は


いくらにでも広がりうるので


それに呼応して合理的判断もいくらにでも変わりうる。



そのため、対象物に対しての定義づけは


理論展開の前になされない限り、


その理論は支離滅裂なものになりうる。

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